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スタインウェイ Steinway&Sons

◆スタインウェイ&サンズ動画  Steinway&Sons×YouTube 

コンサートで定番のメーカー。米ニューヨークと独ハンブルクで製造。
ホールを席巻する最大の要因は、オーケストラと張り合える音響。
響板、ボディ、そして鉄骨フレーム、あらゆるパーツを振動させる設計がスタインウェイ独特の煌びやかで迫力あるサウンドを構成します。演奏会や録音に使用されるピアノの9割方はこのメーカーですね。

あえて難点を挙げるならば、音の厚みを獲得するための副産物とも言える金属的な響き。それを苦手にするピアニストもいます。一般のユーザーが購入して部屋で楽しみたい場合、そうした特性を踏まえて音のボリュームをどこまで求めるか一考の余地がありそうです。

2013.2.2
ニューヨーク製スタインウェイを奏でるルドルフ・ゼルキン。
私が好きなシューベルトのピアノ・ソナタ第21番の第4楽章です。
ゼルキンはミスタッチも多いけれど演奏にどこか温もりを感じます。
ニューヨーク製は鍵盤両端の腕木が角張っているのと、塗装面が
艶消しなのが特徴。ただ今後はハンブルク製と同じく艶出し塗装に
切り替えるという噂も。手造り感のある軽く明るいサウンドです。  
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■J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲BMV988(マレイ・ぺライア)

Murray Perahia (1947~ )
1972年リーズ国際ピアノ・コンクールにアメリカ人として初の優勝。
明確なタッチと優しい音作りが特徴のリリック(叙情的な)ピアニスト。

安心して楽しめる端正な演奏、ビギナーにお勧めしたい一枚です。
緩急・強弱の極端な変化は控えて、全体的に落ち着いたテンポ設定、リピートでは装飾音をお洒落に聴かせてくれます。

フルコンサート・モデルD539525使用と製造番号まで明記しています。程よいフレームの響き、あたたかい音色のスタインウェイとぺライアの安定したテクニックがリスナーの心を和ませてくれる録音です。
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<2000>Sony Classical

スタインウェイ×J.S.バッハ     Steinway&Sons×J.S.Bach

○ゴルトベルク変奏曲
Glenn Gould(グレン・グールド)/1955/Sony
いわずと知れたグールドの衝撃デビュー盤。愛用するNY製スタインウェイによる録音。
Martin Stadtfeld (マルティン・シュタットフェルト)/2005/Sony
彼のデビュー盤。今時のハンブルク製スタインウェイの音を堪能できるCD。潤い系の高音が心地よい。
Simone Dinnerstein(シモーネ・ディナーシュタイン)/2007/Telarc
彼女のデビュー盤。1903年ハンブルク製スタインウェイ使用。音を紡ぐような秀演。
その他多数・・・

■ベートーヴェン:ピアノソナタ〈熱情〉 他 (アブデル・ラーマン・エルバシャ)

Abdel Rahman El Bacha (1958~ )
15歳の時にクラウディオ・アラウも才能を高く評価、1978年エリザベート・コンクール優勝。クラシック音楽界では珍しく中東の国レバノン・ベイルート出身。粒のそろったタッチで誠実な演奏をするピアニスト。

勢いに任せて過激な<熱情>を弾くピアニストも居る昨今、その極め細やかな指回りで一音たりとも雑に扱わない真摯かつ明晰な演奏。パリ音楽院で研鑽を積んだこともありフランス・ピアニズムによる爽やかなベートーヴェンを好演しています。ソナタ全32曲録音済。

重厚感あるスタンダードな音質のスタインウェイ。各音域がバランス良く調整されて録音も良好。過去に難曲<イスラメイ>を弾いたライヴを聴きましたが、けっして体育会系の演奏ではなく、色彩豊かにさらりと弾いてしまい、そのテクニックの鮮やかさに驚嘆した記憶あり。
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<1992>FORLANE      

スタインウェイ×ベートーヴェン    Steinway&Sons×Beethoven

○ピアノ・ソナタ第23番<熱情>
Gerhard Oppitz(ゲルハルト・オピッツ)/2009/hanssler
入手容易×最近の録音×ハンブルク製スタ。ソナタ全集BOX購入も可
Pierre-Laurent Aimard(ピエール=ローラン・エマール)/2001/Teldec
カーネギーホール・ライヴ。ハンマーの音質感からNY製スタインウェイと推測。
Andras Schiff(アンドラーシュ・シフ)/2008/ECM
飛びっきり甘く輝かしい音に調整されたハンブルク製スタインウェイ。ライヴ録音。
その他多数・・・

■シューベルト:ピアノソナタ第21番D960(ヴァレリー・アファナシエフ)

Valery Afanassiev (1947~ )
ピアニスト・小説家・詩人として活動するマルチ・ピアニスト。モスクワ出身。エミール・ギレリスの弟子。1972年のエリザベート・コンクール優勝。極端に遅いテンポでじっとりネチネチと弾く稀有な演奏家。

天国的な美しい旋律と地獄的な長さのD960。第1楽章だけでも約20分(リピート含)あります。楽曲の中に人の生死を読み解く哲学的な彼にピッタリの曲。1990年代にスタジオで再録音したもの(這いずり回るような遅さ、第1楽章は28分・・・)に比べると“まっとう”なテンポ設定。

ロッケンハウス音楽祭のライヴ録音。臨場感とともにスタインウェイらしい小気味良い金属的な響き(とくに高音部)が伝わってきます。
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<1986>ECM ライヴ盤      

スタインウェイ×シューベルト     Steinway&Sons×Schubert     

○ピアノ・ソナタ第21番
Rudolf Serkin(ルドルフ・ゼルキン)/1977/Sony

75歳を記念するカーネギーホール・ライヴ。NY製スタインウェイを使用。
Alfred Brendel(アルフレッド・ブレンデル)/2008/Decca
ハンブルク製スタインウェイにしてはかなり柔らかい音質。金属的な響きを嫌うブレンデルの好みに調整?
Mitsuko Uchida(内田光子)/1997/Philips
自身が所有する1962年製スタインウェイを使用。ウィーン・ムジークフェラインにて録音。
その他多数・・・

■ショパン:ピアノソナタ全集 他 (レイフ・オヴェ・アンスネス)

Leif Ove Andsnes(1970~ )
北欧ノルウェイ出身、ストイックなテクニシャン。1987年オスロでソナタ3番を含めたショパン・プログラムでデビュー。1996年よりEMIの専属アーティストとして活躍中、主だったコンクール受賞歴がなくとも着実に世界的なキャリアを築いているピアニストのひとりです。

ヴァージン・レーベル時代の20歳頃の録音。独特のルバートには賛否わかれますが歯切れ良いタッチとシャープなリズムがとても魅力的。メリハリ利いて後味もすっきり、どこかモダンな印象です。感情過多なショパンに食傷気味の方にオススメ。若さとセンスを感じます。

スタインウェイよりピアノ提供。少し距離感のある録音。薄くフィルターがかったような響きに聴こえます。低音セクションの巻線部は倍音が控え目、派手に鳴り過ぎぬよう整音されている印象をもちました。
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<1991>Virgin           

■リスト:超絶技巧練習曲S.139 (ボリス・ベレゾフスキー)

Boris Berezovsky (1969~ )
1990年のチャイコフスキー・コンクールの覇者。超絶的なテクニックとパワーを誇る「鋼のタッチ」の持ち主。ロシア・ピアニズムを象徴する中堅ピアニスト。女傑ヴィルサラーゼの弟子。旧ソ連・モスクワ出身。

仏・ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノフェスティバルのライヴ。いかなる難所も力でねじ伏せるような迫力満点のステージ。鍵盤上に飛び散る汗で指が滑らないか心配してしまうほど。第8番<狩>を弾く時点でもうYシャツがグッショリ、ピアノ演奏のスポーツ的な一面を感じます。余りのパワーに第10番では弦が切れるハプニングも。「やっちゃったよ」と慣れた手つきで弦を外すパフォーマンスに聴衆も沸き立ちます。

スタインウェイDモデル使用。ハードロックを思わせる凄まじい演奏にピアノが悲鳴を上げています。彼のリサイタルを聴いた人の情報ではベートーヴェン<熱情>ソナタを弾いて調律が破壊されたとのこと。その強烈な打鍵に泣かされる調律師はおそらく後を絶たないでしょう。
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<2003>Ideale Audience                 

スタインウェイ×リスト         Steinway&Sons×Liszt

○超絶技巧練習曲集 S.139
Boris Berezovsky(ボリス・ベレゾフスキー)/1996/Teldec
Yukio Yokoyama(横山幸雄)/1998/Sony
Alice Sara Ott(アリス=紗良・オット)/2008/DG
○ハンガリー狂詩曲 S.244
Mark-Andre Hamelin(マーク・アンドレ・アムラン)/1996/Hyperion
いとも容易く超絶技巧曲を料理。とくに第2番のアムラン自作によるカデンツァは必聴。もはや編曲の域。
Louis Lortie(ルイ・ロルティ)/1995/Port Royal
第9番<ペストの謝肉祭>等を臨場感あるライヴ録音。<ファウスト・ワルツ><鬼火>は心地よいドライブ感。

■シューマン:謝肉祭Op.9 交響的練習曲Op.13 (ピエール=ローラン・エマール)

Pierre-Laurent Aimard (1957~)
フランス・リヨン出身。パリ音楽院に学び1973年のオリヴィエ・メシアン国際コンクールに若干15歳で優勝。現代音楽のスペシャリストであるとともにクラシック作品でも高度な音楽性を披露してくれます。

一音一音に息吹を感じさせるピアニズム。聴く者を退屈させない示唆に富む演奏です。それまでは何気なく聴いていた《謝肉祭》の面白さに気付かせてくれた録音。弾かれる機会の少ない〈スフィンクス〉は現代音楽の名手らしく少し変わったアプローチが楽しめます。

オーストリア・ウィーンのコンツェルトハウスでのライヴ録音。ソフトペダル使用時の距離感ある音まで丁寧に整音されている印象。音質がムラなく揃っていると弾き手も聴き手も音楽に集中できるものです。
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<2006>Warner Classics    

■ブラームス:後期ピアノ小品集Op.116~Op.119 (エレーヌ・グリモー) 

Helene Grimaud (1969~)
オオカミの生態保護に取り組む美人ピアニスト。13歳の若さでパリ音楽院に入学してジャック・ルヴィエに師事。10代の半ばから演奏活動のキャリアを築いています。フランスのエクサン・プロヴァンス出身。

ドイツ・グラモフォンへの移籍前にエラートで最後に残した作品です。グリモーの傑作とも評される録音。(ジャケ写真は少し怖いけど)外見だけでおしとやかな演奏をすると思うなかれ、野性的にすら感じる覇気と集中力でブラームスの内面性を鮮やかに表現しています。

スタインウェイ使用と表記。深みのあるダイナミックな低音とキラキラとした高音が響き渡ります。重苦しくなりがちなブラームス晩年の小品ですが、彼女ならではの実直な解釈とスタインウェイのもつ現代的なサウンドが見事に融和して程よい濃度で楽しませてくれる録音。
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〈1995〉ERATO

■J.S.バッハ=ブゾーニ:シャコンヌ BWV1004 他 (ミハエル・プレトニョフ)

Mikhail Pletnev (1957~ )
1978年チャイコフスキー国際コンクールの覇者。モスクワ音楽院にてヤコフ・フリエールに師事。指揮から作曲までこなす万能な音楽家。

2000年11月1日カーネギーホールでのリサイタル。独自の意図を盛り込んだ斬新な<シャコンヌ>。そのユニークな解釈も彼の卓抜した技巧があればこそ。ショパンのスケルツォ全4曲においても諧謔性に溢れる演奏を聴かせてくれます。アンコールの締めに弾かれたバラキエフ<イスラメイ>で観客のボルテージは最高潮に達します。

NYスタインウェイのサウンドが全開に鳴り響いています。演奏家と聴衆の一体感がリアルに伝わってくる白熱のライヴ録音。
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<2000>Deutsche Grammophon

■ムソルグスキー:展覧会の絵 他 (セルジオ・ティエンポ)